《MUMEI》
一教師
「ジロ、七生引きこもっとるんだけど、どうしよ」
朝、七生父が俺に尋ねて来た。

柊荘の内館家に行ってみると七生がすっぽり布団の中に隠れていた。


「七生……、俺だけど。」
背中らしき所を揺する。反応がないけど話を続けた。

「学校行きたくないのか?
……俺のせい?強要はしないけど、出席率とかあるし、行った方がいいよ。」
小さく布団の隙間から七生の口が現れる。


「だって会いたくない」
七生は不思議だ。大人のような仕種をすると思えば急に子供に還ったかのように我が儘になる。


「南の姉さんが嫌?」
手を置いていた背中が微動する。


「嫌じゃあないけど。もう好きにはなれない。」
ほらまた大人みたいなことを言う。
俺があまり知らない七生だ。

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