《MUMEI》
U
俺は痛む頬を押さえながらさっきより一層重くなった足取りで教室を目指す。
上記のとおり俺は、みきゃぁぁっ!の女子生徒に殴られたのである。
それも、往復ビンタで。そりゃ−痛いに違いない。
そのあと女子生徒はトイレに引きこもってしまった。

「ったく転校早々最悪だな……ってあの生徒、どこかでみたことがあったような―――人違いか」

どこかでみたことがあるのは本当だった。
あの顔、微かに見覚えがあったのだ。

しばらくすると標的の教室前廊下についた。
むろんやすやす入る俺ではない。と言うか入ろうとも入る状況ではなかったためでもある。

「……残念ながら3組の生徒……が転校されました……」

と誰かが死んだかのように静まり返る教室。

きっと人気者だったんだろうな――と俺。
転校した人気者と転校しに来た平凡男子。もちろん勝者は決まっている。
と言うことなので俺は教室に入れないのである。

「遅刻〜〜〜っ!」
「?」

真後ろから聞こえる声。
その声は聞き覚えがあった。徐々に近づいてくる生徒らしき人。

俺は頭の上にハテナを浮かばせながらみているしかなかった――が徐々に見えてくる顔を避けずにはいられなかった。
その生徒は、みきゃぁぁっ!の人だったのだ!

「おいっ!ちょっ……!」

みきゃぁぁっ!の人は俺を避けるどころがドンドン近づいてくる。
俺もどうしたらいいのか分からず慌てまくる。

「あんた、どきなさいっ!邪魔よっ!」

と言われてももう遅い。
俺と、みきゃぁぁっの人見事にぶつかったのである。



教室のドアを突き破って――。

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