《MUMEI》 「そうみたいね……」 「やっぱりそっちの授業って難しいわけ? 当然、次の進路も決まってるとか」 彼女は目を閉じると眉根《まゆね》を寄せ、僅《わず》かな沈黙の後《のち》―― 「さあ、どうかな。気にしたことない」 それだけを言うと、再び目が開いた。 「へぇ〜、気にしたことない……か」 ……まただ。 今朝も感じたように、何かがおかしい。 彼女は自分に関心が無い……というか他人事《ひとごと》のように捉《とら》えている印象を受ける。 それに、時折見せる仕草や行動にしても違和感がある。 「そろそろ用件について話したいんだけど」 「あ、ごめんごめん」 彼女は真剣な眼差しを向け、 「単刀直入に言うわ。力を貸して欲しい」 「……ん?」 単刀直入なのはいいけど、それだけじゃワケがわからん。 とにかく、彼女から詳しく事情を訊《き》かないと。変な頼み事だったらイヤだし。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |