《MUMEI》
夢?マックの店員さん
「眩しっ!」

屋上に出ると太陽が、それはもうギッラギラしていましたよと。

「、、、あっ」
屋上を少し探してみると、日陰で体育座りというなんとも陰鬱な感じの少女が一人。
『ぼー、、、』
「何してんの?」
「っ!?」
驚きと若干の恐怖があったのだろうか、全力で逃げる体勢である。
「いやー!待て!!何も危害は加えない!話がしたくてきたんだ!」
幸介は両手を上げて降伏の意を表した。手には藤田からもらってきたパンの袋がぶらさがっている。
「は、話?」
ゆっくりと振り返る東條。
「とりあえず座らないか?ほら、パンもあるぞ?」

子どもか!?なにパンでつろうとしてんだ俺!

「そ、そうですか。では、せっかくですので」

おや〜!?パンにくいついたのだろうか、、いや、まさかな、、

東條は先程の位置に座り直し、幸介も若干の距離をあけ、なるべく威圧感がないように努め、座った。

「なんでも好きなものとっていいぞ」
「、、、はあ」
そう言って幸介は一個一個パンを並べていった。

どうしよう、女の子だし、甘いものは俺食べないほうがいいよな。うん、カレーパン、ベストアンサーだ。

幸介はカレーパンをとり、封を開けようとしたときだった。
「あ、、えっと、、」
なにやら東條があたふたしている。
「え?もしかして、これ食べたかった?」
「あ、いや、、」
なんだかはっきりしない。
「ほら、あげるよ」
幸介はカレーパンを東條の前にさしだした。
「、、すい、ません」
変にかしこまってしまった。
「いや、怒ってないからね?けっして!ほら、ニッコリ〜」
「、、、」

ひいてる!なんなんだ、そんなに俺のスマイルは気持ち悪いのか!?マックの店員さんとかやってみたかったけど、どうやら断念せざるをえないか。いや、逆に『この人スマイルちょ〜気持ち悪いんですけど〜(笑)』みたいな感じでイケるか?
あっ、しまった東條が反応に困って固まってしまっている。

「と、とりあえず食べようか」
そう言って幸介は玉子蒸しパンをたべるのであった。

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