《MUMEI》

「へぇ…」
(上野たち勝ったんか。)



結果を見た麻倉が小さく漏らした。



「試合内容は?」



結果を気にすることなく泉がヤマトに尋ねる。



「一言で言や、まぁ良い試合でしたよ。」



「うん。もうちょい詳しく言おうか。」



「そうすね…」
















………………………………



三位決定戦。
その内容は以外の通りである。


序盤。
試合は均衡していた。


昨日2試合連続二桁得点を決めた絶好調の千葉を秀皇は徹底マーク。


スコアラーの動きを制限することで上野を助けた。


秀皇リードになるかと思われた試合だが、


観客の予想とは対照的に秀皇もスタートダッシュを切り損ねる。


得意の速攻から試合の流れを掴みたい秀皇だったが、


一ノ瀬がロングパスを防ぎペースを掴ませない。


返しては返されのロースコアなシーソーゲームが続く。


前半17分過ぎ。
痺れを切らせた秀皇がここでタイムアウトを取る。


1分間のタイムアウトの後、


試合は動く。


先制は秀皇。
ポスト市原の得点から流れは変わる。


前半25分。
この時点で7の点差が付く。


これ以上点差が離れることは避けたい海南。


ピンチを救ったのは古賀だった。


前半残り5分。
この5分の間に古賀は5得点の活躍を見せる。


前半終了時、
点差は3まで詰められる。


後半。
秀皇のセオリーを考えるのであればここは逃げ切りの場面。


しかし、
今日の秀皇は違った。


前半しつこく千葉に付いていた警戒を解き、


強気な攻めの姿勢を見せる。


これが功を奏した。


中を固めることにより海南の突破力は減少。


対照的に秀皇は得意のスピードスタイルを存分に活かした。


海南の頼みの綱はエース千葉だったが、


昨日見せた爆発力が千葉から見えることはなかった。


点差はずるずると離れ一時は11点差まで開く。


が、


やはり千葉は終わらない。


試合終了10分前、


ようやくエンジンは動き出す。


怒涛の追い上げを見せる海南。


11あった点差を5まで縮めるが、


力及ばず。


最終局面、
要大地の速攻が決まり、


6点差を付けられた時点で試合終了を告げるブザーが鳴った。



………………………………

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