《MUMEI》

「…千葉の不調の原因は?」



試合の流れを聞き終えた泉が尋ねる。



「試合を見た限りじゃ出鼻を挫かれたとか、


昨日の疲れがあったとか何とでも解釈はあったと思いますが、


こればっかりは当人じゃないとわかんねっす…


つっても千葉はトータルで8得点。


本来なら十分な数字ですよ。


これで千葉を責めんのは可哀想っすね。」



「ふ〜ん…」



泉はスコアを見つめる。



「…ま、市民体のリベンジは果たしたわけだ。」



興味がない…


というわけではなかったが、


これから始まる決勝への期待感を考えれば、


元々秀皇出身ではない泉が抱く興味はやはり霞んでいた。



「…随分と余裕なお出ましだな。」



県営武道館正面入り口にてたむろするヤマトたちに近づく1人の男。



「あ゙…」



瞬時にして秀皇大学選手陣の表情が変わる。



「お…疲れっす。」



「………あぁ?」



「いや…すません…」



秀皇大学ハンド部コーチ。


練習会にこそ姿は見せなかったが、


ヤマト・恭介もその男の顔は知っていた。



ボソッ…
(新垣直樹?)



小声で恭介に尋ねるヤマト。



「そうだな。」



ボソッ…
(おぉ…さすが秀皇…
ビッグなコーチがついてんなぁ。)



ボソッ…
(去年からだよ。


ケガで引退してから速攻就任したらしい。


それでもまだ別の仕事があったりで中々練習には来ないらしい。)



(へぇぇ…)



「あ?」



小声で会話を続ける2人の存在に気が付く秀皇大学コーチ新垣。



「水川恭介…と北村大和…だったか?」

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