《MUMEI》

「俺たちのこと知ってるんすか?」



名前を知られていたことに驚く2人。



「あぁ。プレーも見たことあんぞ。」



「えっ?」



意外な表情を浮かべる2人。



「俺たちの時代で考えれば秀皇から声がかかって蹴るなんて考えられなかったからな。


コーチに就任してからそんな奴がいるなんて聞いた時は高卒と同時にハンドボールを辞めるつもりなんだろと思ってたが、


別のチームでやってるってのを聞いたら、


俄然興味が沸いてな。


海南クラブの試合は何度か足を運んだ。」



「…」



(知らね〜とこで偉い有名になってんな…)



「正直…お前らはいいもん持ってるよ。


今からでもウチに欲しいくらいだ。


勿論、黒田小太郎も含めてな。」



(そして評価は高い…と。)



「…クロが聞いたら喜びますよ。」



「おぉそうそう。黒田。
赤高のコーチやってんだろ?


決勝。


十中八九負けんだろうけど頑張れって伝えといてくれ。」



「…前の文章入ります?」



「ん…まぁどっちでもいい。」



「…了解す。」



(変わった人だな…)



「あ〜そうそうもう1つ。
むしろこっちの方が大事な伝言。」



「なんすか?」



「赤高から欲しいのが1人いる。


俺が育ててやるから卒業したら秀皇によこせって。


そう伝えといてくれ。」



「ん…了解っす。」



新垣・春奈・そして秀皇選手たちは観客席へと向かう。



「ヤマト。クロによろしく言っといてな。」



別れ際、泉がそう話した。



「うっす。」



返事をするヤマト。



「…」



(赤高から欲しいのが1人…ね。)

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