《MUMEI》 屋上「まただ。今日はどこが消えるのかな。」 空を忙しく飛んでいる戦闘機を見上げて私はぼそりと言った。 「ちょっ、物騒なこと言わないでよ!いのり!」 昼休みの屋上。 友人が私の名を呼ぶ。 今、私たちが住まうこの世界では戦争が行われている。 なぜかわからない、いつからというのも、私にはよくわからない。 「どうかした?」 黙っている私が気になったのか、少し心配したように私の顔を覗き込んできた。 「あ、いや。なんでもない。」 「・・・それにしても、本当に物騒になったよね、この町も、いつ消えちゃうかなんて思っちゃう。」 「・・・・・・」 「今日は早退する。先生には腹痛って言っておいて。よろしく。」 そう言って私は荷物を取りに教室へ向かった。 友人が私を呼ぶ声がした。 前へ |次へ |
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