《MUMEI》
軍基地
誰だ。

雨、ヒト、泣いてる、
私?
でも顔がよくわからない。
でも、確かに私。
それに、もうひとり、倒れてる。
血だらけで、僅かに口を動かしてる
私はそのヒトに叫んでいる。
きっと、そのヒトを呼んでいる。



「・・・・・・っ」

・・・・・・夢・・・か。

私は、その場が自宅でないことに気付き、辺りを見渡した。

「・・・何処だ、ここは?」


「目が覚めましたか。」

その声にビクリとして、思わず声をあげてしまった。

そこには、さっきの黒いスーツの男が立っていた。


「・・・・・・ぁ、」
「軍基地ですよ、ここは。」

何か言おうとして、
その言葉にかき消された。


「すみませんね、どうしてもと言われまして。強引に連れてきてしまいました。」


どうしても?
誰が?
軍基地?

「さあ、行きましょう。検査をけなければ。」

そう言って、男はドアをガラリと開けて私に部屋から出るよう言った。


言われるがまま私は部屋を出て、男の後ろからついていった。

[診察室]と示された部屋に入り、あらゆる検査を受け、私たちは部屋を出た。
この検査の意味を私は何も知らされず、ただただ男についていった。

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