《MUMEI》
お休み
「・・・ん、いのりさん。」


「・・・ぁ、はい・・・?」


ボーッとしていた。そのまま歩いていたらしい、男が私を上から見下ろして、私を呼んでいた。


「大丈夫ですか、こちらがいのりさんの自室になります。
お疲れのようですのでお休みになってください。」

「・・・ぇ、ぁ、あの、うちは・・・?」


「はい、ご自宅の方は、明日までに対処する、とのことです。」


対処?


「あの、それってどういうこと・・・ですか?私、これからどうすればいいんですか?」


その時、男の眉が僅かに動いたのを私は見逃さなかった。


「・・・いのりさんは、軍の一員となりました。いのりさんには、明日から訓練を受けていただきます。
明日、午前8時にお迎えにあがります。」



「ぇ、あの、えっと・・・」


「この部屋にあるものは、何を使っていただいても構いません。何か足りないもの等ありましたら、そちらにある内線を使ってください。」

「ぁ、はい・・・すいません・・・」

「いえ、あなたはこれから、軍のために戦って頂きたくのだから、感謝をするのはこちらの方です。では、私はこれで失礼致します。」


「ぁ、はい・・・あの、お世話になりました、お休みなさい。」


そう言うと、男が少し微笑んだような気がした。

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