《MUMEI》
伝言ゲーム?
 




【伝言ゲーム?】












「ねぇ、知ってる?」





人は大好き、噂が大好き、








「友だちからきいたんだけどさぁ…」



手を洗い雑に蛇口を捻り、雑にスカートのポケットからハンカチを取り出す。









それは人間社会において消えることのない伝言ゲーム

ワクワクドキドキ知りたい知りたい。
止まることのない好奇心








「何々!?」







身を乗り出しながら言葉を吐き出させる。話題を出した方の少女も満更悪い気もしないのか、得意気に目を細め薄く開いた口を耳に近付けた。









「あのね、」










ヒソヒソヒソヒソ




女子トイレは静まり返る。










□■














あたしは困っていた。
ただどうしようかということばかり










ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ










止まらない、止まる気配は…………










ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ










――――――無い、






あぁどうしようか、

またこの思考にたどり着く。








全ての目線の先には[あたし]
いつか身体中に穴が開くんじゃないかなと心配になる

…………ならないけど、








今は休み時間、みんなが自由に行動できる唯一の一時。だけどあたしにはそれが出来ない。視線に視線が絡まって蜘蛛の糸にがんじがらめにされているかのような錯覚。






息苦しい











どうにか逃げ出したいけど席を立てばそれだけで目立つ。もし教室から出られたとしても今度は廊下がある。人が居るとこ全てあたしに目線がいく














「(ね、やっぱ本当なんだって)」
「(しっ!聞こえるって!)」










見なくても声色でわかる。ヒソヒソと愉しげに、一様注意した方の子も心の底では好奇心が目をギラつかせている……







――――――聞こえてるっつーの……













嫌だな
苦しいな


あたしは……悪くないのに――










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