《MUMEI》



「すっげー!貢眉毛ないっ!」


「うわ〜っ!これ短ランとボンタンって言うんだよね?」


聖ちゃんは、…、俺と写真を交互に見ながら…とっても嬉しそうだ…。


「芸能人でさー、昔はこうでしたみたいなのあるじゃん?貢ってそんな感じだな」
「この頃はかっこよかったんやで?かばんにヌンチャク忍ばせて、ポッケにメリケンサック忍ばせて」

「……みんな勝手にオカンが仕込んだんやろ…」


「でなあ!この時の貢が高校生のチーム潰した時ので…」


――まるで聞いてもらえない…。


中学入学に合わせて作ってもらった学ランは、短ランにボンタンで、そりゃ〜昔のアニメに出てきそうな番長が着てそうなやつだった。

俺が朝飯食ってる間に勝手に鞄にヌンチャク仕込まれて、俺は生徒指導に何度引っ掛かったかわからない。

だいたい小学生の頃だって水の代わりに日本酒を出されてたし、うちのオカンはマジでとんでもない親で。

おっかなくて何かと逆らえなかった俺は気がついたら地元じゃおっかない奴になっていた。


まあ、おかげで無二の親友が出来たってのはあったけど…。



俺はあの事があったから、どうしても1番の大学に行きたくなったんだ…。




「そういえばいつも隣に同じ人写ってるね」


聖ちゃんは俺の親友を指差しながら言った。



「あー、こいつはね…、前に話た…」



「あ、貢!そういえばてっちゃんお勤め終わって出てきてんやで?しかも今長野で働いててなあ…」

「…へ?」



「今呼んだるわ」



と言いながらオカンは立ち上がった。



「……、なっ…!」

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