《MUMEI》

 





あれからやっと昼休みになった

あたしはすぐに机の横にかけてあった鞄から弁当箱を取りだし早足で教室を出た。歩いて歩いて歩いて、出来るだけ人にバレないように足元だけを見て、

それでもたまにすれ違い様に、「あ、アイツ!」とか考えなしの雑音が耳に入り込んできたが削除削除。

はやく、人が居ないとこ!はやく!








バン!!!








あたしの足は無意識に屋上に向かっていた。あぁ、誰もいない。ここなら安心して気を落ち着かせれる……よかった。



錆びたドアを閉めて屋上の真ん中まで歩いた。広い広い空は所々雲が連なって流れていた








「何処で食べよう…」








一人にしたら案外広い空間、とゆうか敷地、やっぱ真ん中は何処と無く気が落ち着かない。



人間の習性かあるいは自分個人の性格か…







ちょこん、と真ん中よりもう少し過ぎた校庭が見渡せるぐらいのとこを定位置とした。






「…………………なんかあたしのものみたい」






言って恥ずかしくなったが、今の景色は学校全体がうつせるからそんな気分になってしまう。なかなか大袈裟なんだけど、

ま、取り敢えず食べるか、と持ってきた弁当袋の紐を緩めた時だった―――











「アハハハハハハハ」

「!!?」





声を上げて笑う声、しかもこの屋上で、

あたしはビックリして振り向く。







「あたしのもの、ね―…ブフッ、いいんじゃない?その支配欲剥き出しな台詞、フハハッ」

「………………だ、れ?」







あたしは無理矢理言葉を紡ぎだした。

そこに居たのは屋上の入り口の上、片足ぶら下げてあたしを見下ろしながら、学ラン姿の少年、いや、まぁこの場所なら当たり前な格好なのだが……。

でも微かに纏っている雰囲気は少年をさしていない、どこか、浮世離れしたような人間。






「誰?え?学生ですけど?何その質問」

「誰ってゆうのは、名前とかを聞いてんのよ」

「あぁ、そっち?」

「………………………」






ハァ、と口元を上げながら軽いノリのテンポと態度の少年に対してあたしは馬鹿なのかと思った



学生なんてわかりきっていることだ、もしかして逆にあたしを馬鹿にしてる?









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