《MUMEI》

 
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信じてた―――――

ただ、
信じてただけなの。











■□









あたしはちょっと真面目な学生だった。
規律も風紀も一般的に守っていた。

いや、一般よりも守っていた。





理数系は苦手だったけど文系は得意だった、国語の教科はいつもクラスで一番だった


だからかは知らないけど国語の担当であった足立先生は凄くあたしに良くしてくれた。


別に人気はない先生だったけど話し方も聞き方も優しくてあたしは好きだった。勿論その“好き“ は恋愛からくる甘いものではなく尊敬からくる敬いからだった。






「今回の期末も代々木がトップだったなぁ!」

「国語だけですけどね、数学ヤバかったんですよ?」

「ハハ、まぁ、人間得意があれば不得意もあるさ!」









ポン、と軽く頭に手を置く

一種のスキンシップ、あたしは安心して笑った。


でもこの時から何処からか視線を感じていた。視線……?いや違う、むしろ殺意だ。




先生と話すたびに視線を感じた。それは日増しに強くなり、そして先生にも少しずつ違和感を覚え始めた……












会えば必ず身体を軽く触れてくる、必ず話しかけてくる、目付きが前と違う





――――――――きっと気のせい、

――――――――あたしの勘違いよ。

―――――――だって相手は教師であたしは学生、






気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい気のせい…………



気のせい……………?











違和感は膨らんで膨らんで風船になっていた。








―――――――
――――――









「代々木、お前最近冷たくないか?」

「えっ!?」





感づかれた。








「き、気のせいですって!被害妄想ですか先生」





出来るだけいつも通りいつもの口調で誤魔化すようにありったけの作り笑い


目の前の足立先生はあたしを数秒間見据えてから









「そうか気のせいか、代々木がそんなことするわけないもんな!そんなこと、………しないよな?」

「は、い…」





なんで固定するような言い方?遠回しに命令しているみたいな……









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