《MUMEI》
出ない答え
   〜江上視点〜


   次の日の朝

職員室に呼ばれ、

遠足の写真の会計を頼まれた。

教室に帰ろうとすると

西村くんが話しかけてきた。

私は[昨日、目逸らしちゃったのに

怒ってないのかな・・・?

優しいな・・・。

・・・・・でも今は

その優しさが痛いよ。]っと考えながら

次の授業の準備を理由に

走って教室に帰った。

今度こそ、西村くん怒っちゃったかも・・・。

でも、いいんだこれで!

授業中、ふとした瞬間に

西村くんのことを

考える。

その度に[好きじゃない。

いい人だけど

恋愛感情じゃない!]って心の中で繰り返す。

でも、その度に

胸がギュッとなって

涙が出そうになる。

そんなことを繰り返しているうちに

放課後になった。

西村くんと写真の会計しなきゃ・・・。

何か気が重いな。

好きな人と一緒に居れるのは

幸せなことなはずなのに・・・。

写真の会計をしていると

やっぱり空気は

重たい・・・。

やっぱり怒らせちゃったのかも。

当たり前だよね。

理由も分からず

避けられたら

誰だって怒るよね・・・。

会計は、短時間で終わった。

私は、すぐさま席を立ち

帰ろうとする。

すると

西村くんが私の腕を掴んだ。

そして沈黙が流れる。

[泣きそう・・・。

泣く前に早く帰らなきゃ。

また西村くんに迷惑かけちゃうし

また優しくされたら・・・

自分の気持ち抑える自信ないよ。]

そして出た言葉は

「ごめん。放して・・・。」だった。

嫌な言い方。

私は、いつも大切な人を傷つけてばっかりだ。

それなのに

西村くんは「どうして俺のこと避けるの?

俺、何かした??」っと優しい言葉を投げかけてくれた。

涙が頬を通ったのが分かった。

泣いているのが分からないように

必死に、西村くんは

何もしてないことだけを伝えた。



ガラガラっと教室の戸が開く音がして

女の子が入ってきた。

「!!!」

私は、西村くんの手を

振りほどき

教室をあとにした。

20分ほど走っていただろうか。

もう家の前まで

帰ってきていた。

呼吸を整え、

家に入る。

そして、自分の部屋に帰り

ベットに倒れ込む。

実穂に、私だって分からなかったかな?



何で私こんなことしてるんだろ?

親友を傷つけて

西村くんを傷つけて

自分に嘘ついて



どうしたら

誰も傷つけなくて済むの?

ねぇ、誰か教えてよ・・・。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫