《MUMEI》
全員集合。
ドアを開けると、そこから強い風が吹き、目を細めた。
細めた目を凝らし、夕焼けの逆光を浴びて、中にいる人のシルエットしか見えない。
中へ入り、「君が、これを?」と僕は言った。
目がなれ、ようやく相手の顔を確認できた。
腰まで届く2つの三つ編みおさげ。本を読んでいたいたようで、僕を確認した途端に本を閉じ、真っ赤になった顔を隠すように本を顔の前まで上げ、「……はい」っと呟いた。
それから彼女から愛の告白を―――


―――これは全て僕の妄想だ。
ドアを開ける直前まで考えていたシュミレーションだ。
…まさかこれが無意味になるとは……。
ドアを開け、目の前に広がったものは。

「いっや〜。マジで久しぶりだな新斗! 今は生徒会会長なんだったっけ?」
「そっちこそ相変わらず無駄に元気だね風影。ちなみにボクは副会長だよ」

小学生の頃の仲良し5人組の内の二人がいた。
「…え…?響介……新斗……!?」
思わず絶句した。
ワケがわからない。
「おう薫。久しぶりだな」
フランク――!!
「何で君らここにいるの!?」
部屋を間違えたのか僕は!?
何だか泣きたくなってきた……。
「なんでって、手紙でオレらも呼ばれたんだよ。ほら」
響介と新斗が手紙を取り出した。僕のと一緒だ。
「だ……騙されたのか僕は!?」
「別に騙されちゃいねえって。っつうか、これで単純にラブレターだと思ったのか?」
「…うっ…」
ついたじろいでしまった。
「浅はかだな、神名」
メガネをクイッと上げながら言った。
「いや、新斗は絶対騙されたでしょ」
「そっ、そんな事ない」
今の反応は絶対騙されていたな。
「ふんっ」と、襟足で縛っている髪をなびかせながら本に顔を向けた。
「……で、一体誰に呼ばれたんだ?」
「さあな。とりあえず座ろうぜ。この2年間の話でもしようぜ」
「……はあ……」
少しため息を吐きながら、近くの椅子に座ろうとしたその時、扉がバンッと大きな音を出しながら開いた。
確認しようと振り返る直前に、何者かに抱きつかれた。
「カッオル___ン! ひっさしぶり――!!」
「み、美鶴!? ちょっと、苦しいって!」
天草美鶴の腕が首にキマっている。
全然成長していないのか、軽いがそういう問題ではない。栗色のセミロングの髪も鼻を擽る。
「これで全員揃ったね!」
全員? どういうことだ?
美鶴の後から入ってきたのは、恐らくここに全員を呼んだ張本人だ。
「……ミクちゃん……」
両手を腰にあて、胸を張ってこう言った。
「みんなで部活を作ろう!!」

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