《MUMEI》

「…こうしてトイレで会うのは二度目だな。」



「そういや…そうでしたね。」



(何!?何の話!?)



2人の会話に置いていかれる千秋。


だがそんなことはお構いなしに、


2人の目は火花を散らす。



「…お前を評価してるってのは否定しない。


初めて会った時から毛並みの良さは感じてた。


そういうことには人一倍敏感でね。」



火花を散らす2人…


とはいえ、


やはり現状実績が上の桜井には椎名よりも余裕が感じられた。



「…そりゃど〜も。」



不機嫌そうに椎名は答える。



「信じてね〜ような態度だけど、


これはマジだぜ。


実際引退前にお前ともっかいやりたいとも思ってた。


さすがに、


決勝の舞台で会えるとは思わなかったけどな。」



「…」



桜井の言葉に、
椎名は一瞬言葉を失う。



「…会いに来たわけじゃないっすよ。」



「!」



話を聞いていた千秋の目付きが変わる。



「へぇ…」



次に出る言葉は用意に予想が付いた。


が、



「…勝ちに来たんす。」



実際にその言葉を聞くと、


さすがに穏やかではいられなかった。



「…相変わらず生意気だな。」



桜井の表情が変わる。



「…俺にそんな態度取った代償はでかいぞ。」



「…上等っす。」

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