《MUMEI》 違和感は次第に不安感に塗り変わっていった……… 放課後、今日中に提出しなくちゃいけないプリントを書いていていつもより30分程度遅く下校するハメになった。 疲れて廊下をゆっくり歩いてる途中それは起こった―――― 「代々木さん」 「?」 聞き覚えのない透き通った声、 あたしは声に惹き付けられて後ろを振り向く。そこに立っていたのは声に似合った線の細い女子生徒、髪はさらりとクセひとつない綺麗な黒髪。 でも何故だか不思議と近寄りがたい、そんな第一印象 「……な、に?てゆうよりも何であたしの名前を……?」 そうぎこちなく聞いてみると彼女はクスクス綺麗に笑いを溢しながら、 「酷いね代々木さん、私、貴女のこといつも見ていたのよ?気付いてなかった?」 「…………………………」 尚もクスクスと笑う彼女、あたしの思考は停止する。いや、巻き戻す ぐるりぐるり ――――――――――廊下でも職員室でも昇降口でも… 先生といるときにだけ感じてた…… ―――視線――― 「まさか、」 「やぁ―っと気づいてくれた?嬉しい。私ずっと羨ましかったのよ?先生にあんなにも気に入られてて…………まぁ、あの人は成績のいい子をひいきしちゃうクセがあるからなんだけど」 「………………あたしに、何のよう?」 「そんな身構えないで、なにもしないから。でも、そうね―、強いて言えば……この一言を言いに来ただけなの」 「一言…?」 優しく笑う彼女、美人なだけあってその表情すら様になる。 † 前へ |次へ |
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