《MUMEI》
優しさ。
翌日。
熱が下がり、学校へ行くと・・・彼が目に入った。彼は私にきずいていない。

「あ、あんた。学校来たんだ。てっきり自殺でもするのかと思ったわ」
「・・・」

わたしはいつものように無視する。

「なに・・・無視してんのよ!!」

私を殴ろうと、手を振り上げる女子。
急なことに思わず目をつぶった。

「・・・」

しかし、どんなに待っても痛みを感じない。
そーと目を開けると・・・

「りゅ、龍也・・・く、ん。」

私の目の前には、振り上げられた手を捕まえて、守るように立っている龍也くん。

「お前、馨子ちゃんに何しようとしとんねん。」
「龍也くん、邪魔しないで。そっか・・・龍也くんはしらないんだっけ?この子はいじめのターゲットだから。覚えといて?こいつなんかかばわなくていいんだよ?」

終わった、と、思った。
きっと彼もみんなのように私をいじめるんだ・・・

「なんで俺がいじめなあかんねん。」

・・・へ??

私だけじゃない。
きっとこれを聞いた人は同じことを思ったはずだ。

「おれは馨子ちゃんとなかようしたいし、いじめなんてあるべきやない。お前らもこんなことおかしいてきずいてたとこもあるはずや。馨子ちゃんに手ぇだすのやめろや。もしまたこんなことあったら、俺もいじめてることと思え。」

馨子ちゃん、ちょっと教室出ぇへん?

そんな優しい言葉を私にかける彼は、すごく、まぶしくて・・・。

みんなの視線をあびながら私たちは教室をでた。

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