《MUMEI》

「ビーッ!!!!!」



前半終了を告げるブザーが鳴る。



「しゃすッ!!!!!!!!」



それは同時に、


男子決勝を争う両校の登場も意味していた。



ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



「きたぁッ!!!!!聖龍ッ!!!!!」



ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



観客席の声援も激しさを増した。



「…向こうの声援のがちょっと多いかな。」



ポツリとクロが溢した。



「…ま、い〜けど。」



ポリポリ…



コートに立つクロは、
普段と同じ様子に見えた。


だが、


内心は大きく異なっていた。


この時点では、
いい意味となって。



「時間いっぱい下から3・2。」



指示を出すクロ。



「はいッ!!!!!!!」



選手たちは位置に着く。


短い時間の中でできることは限られていた。


順番を長く待つことになるポジションシュート等の練習はこの際切り捨て、


とにかく足を使い、
尚且つ回りの早い下からの3対2に全ての時間を費やすことをクロは選んだ。



バシッ!!



「ナイスキーッ!!!!!」



始まる両校の練習風景に、


観客たちの注目も集まる。



ガヤガヤガヤガヤ…



「あれが村木守だろ?」



ガヤガヤガヤガヤ…



「そう。毎回赤高の危機を救ってる守護神。」



ガヤガヤガヤガヤ…



「市民体でも見たことあるけど、いかにも上手いって面してんな。」



ガヤガヤガヤガヤ…



「県内であの村木レベルに達してるキーパーっていうと、秀皇の上野くらいか?」



ガヤガヤガヤガヤ…



「どうかな?上野も上手いキーパーだけど、


昨日の試合を見た限りじゃ村木の方が上って感じだったよ。


むしろ期待は上野より聖龍の奥本だろ。


知名度こそなかったけど、


あの身長は武器だし、


とにかく止めまくってる。


市民体では村木のデビューに皆警戒が高まったけど、


この大会での知名度の上がりようなら奥本も負けてない。」



ガヤガヤガヤガヤ…



「奥本か…」



ガヤガヤガヤガヤ…



「確かに…オーラは出てんな…」

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