《MUMEI》
誘拐犯の隠れ家。
「みんな、聞いて。僕の記憶から、誘拐犯の隠れ場所を特定できたんだ」
僕はその場を仕切って言った。
ちなみに響介はまだ倒れている。
「本当か神名。それに信憑性はあるのか? どうなんだ?」
「記憶なんてアテにならないかもしれないけど、ようやく掴めた手がかりなんだ。行ってみようよ」
「…そうか。では、小鳥遊刑事に連絡はどうする?」
「新斗くんには悪いけど、僕は小鳥遊さんを信用していない。ちゃんと確認してからにしようか」
「それならボクも賛成だ。こんな事で警察は簡単に動かんさ。で、奴らの隠れ家はどこなんだ?」
「………まず響介くんを起こそうか」
「大丈夫かな、響くん」
君がやったんだよ、美鶴。他人事みたいに言っちゃダメだよ。
僕は美鶴に対して今後、あまり怒らせることをしないことを密かに誓った。


「廃病院!? なんじゃそりゃ」
響介がようやく起き上がり、胡座をかきながら言った。
「……ここら辺にあったっけ?」
「そんな簡単に見つかってたまるか、と言いたいところだが、ここから2つ隣の町に3年前に廃業した病院がある。どうやらそこのようだな」
隣の隣の町……。自転車で30分かな。
「では行こうか。響介、自転車に乗れるまでに回復したか?」
「あ、ああ……。なんか体がビリビリして気持ち悪いんだけど、なんだろうな」
まさか超能力!? とかバカな事を呟いている響介を無視した。
「さあ! Let's Go!!」
響介の自転車の後ろに美鶴。新斗の後ろに僕。こうやって僕らは出発した。

『行ったか…。よし、彼らを付けとけ』
『了解』

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