《MUMEI》

ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



「うぉぉぉぉッ!!!!!!」



ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!














………………………………



昨年の二強の一角。


秀皇大附属高校を落とした赤城北高校の評価は決して低くはない。


が、


この会場の中に赤高が聖龍に勝つという予想を立てた者がどれだけいただろう?


大半の予想は聖龍の優勝。


昨日の試合を踏まえてもその予想を覆す者はそうはいなかった。


ただ1つ。


赤高が秀皇に勝てる要因を挙げるのであれば、


それはキーパー村木の存在。


一部では天才とまで評される村木が、


聖龍のシューターたちをできる限り食い止めることができれば試合はわからない。


赤高の勝利を信じる者たちからすれば、


村木は唯一の希望。


しかしその希望は早くも打ち砕かれることとなる。



………………………………














    バスッ…!!















たった、
たった1本のシュートによって。















ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



「決めたぁぁぁッ!!!!!!!」



ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



「やっぱ今年も聖龍だぁぁぁッ!!!!!」



ドドドドドワーワーッ!!!!!!!!!



観客たちは目の当たりにした。


天才村木が、
桜井のシュートに敗れるその瞬間を。


歓声に混じるため息は、
自分たちに向けられた物であることを選手たちは理解していた。



(…ちっ。)



既に会場は聖龍ムード。


だが、


事態はこれだけでは終わらない。



「ふぅっ…」



自軍側コートに戻りディフェンスに着く桜井と井川。



「えっ…」



ザワザワザワザワ…



聖龍から次の攻撃メンバーが走りださない。


桜井たちもそれを当然と言った表情で受けとめていた。



ザワザワザワザワ…



(あいつら…)



ザワザワザワザワ…



決して自分たちを抜けはしないという自信から、


彼らは誘っているのだ。


自軍コートへと。


赤高の選手たちを。

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