《MUMEI》
さぁ、何処にも行けないな。
送電棟が囲むグラウンド
ここが俺の仕事場だ
左手には何時も金属バット
右手には、注射の跡がいくつもあった
椅子の横にあるラジオは
ノイズが酷くて何も聞こえない
元は野球場だったからネオンな電球が付いているが今にも消えそうだ
俺の横には暴力で勝ち取ったバニーガールが3人
俺にとっちゃ最適な仕事場だった今日来る客は、俺の常連
「今日もよろしくな。ヒーロー」
相場はドラッグ一粒
人、一人=ドラッグ一粒
単純計算だ
カラカラに乾いた阿片つき
困ってないのに俺に依頼する
ただのその場の乗りで
断ったら、なんでもない様な顔して粘りに粘ってくる
さぁて、お喋りはこれまでだ
依頼人の"願い"を果たしに行く時間だ
俺はドラッグを口に含み、噛み砕く
そして、殺す相手の所にふらつきながら行く
幸い直ぐに見つかった
情けない顔して逃げていく
そいつがはいって行ったのは
古いマンション
俺は口角をあげ
吐き捨てるように言った
「さぁ、何処にも行けないな。」

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