《MUMEI》 『この人ってさ〜先 生の彼氏?』 画面の中の淳弥を指 差して、こてりと首 を傾げる。 仕種や表情を見れば 良質のお坊ちゃまな 慶太くん。 しかし、その唇は彼 の容姿に似つかわし く無い言葉を次々に 紡ぎ出して来る。 『この人さ、ウチの 系列会社の新入社員 なんだよね、確か。 淳弥サン?だよね、 先生?』 『……え?』 呆然とする俺に、ス ラスラと淳弥の経歴 や俺との繋がりなど 事細かに喋る。 『興信所って便利だ よね〜お金さえ積め ば、何でも調べてく れちゃうんだから』 そう言った慶太くん の双眸は俺の反応を 確かめる様に意地悪 な光を宿していた。 前へ |次へ |
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