《MUMEI》
友達という存在
PM12:40ーー病院ーーーー

刈部《くそっ!
李緒まだか!?時間がないぞ!》

天音「李緒君まだ戻らないわね…」

巽「……やっぱり…無理か」

刈部「巽!
   李緒は絶対に戻って来る!」

巽「…そうか…そうだよな
アイツの事なら何食わぬ顔で戻って来るに決まってるよな」

刈部「ああ!」

天音「でも、もう1時になるわよ」

刈部「くっ……!」

李緒「お前ら何でそんなに重い空気になってるん?」

刈部「李緒!?」

李緒「へへっ、さっきは悪かったな」

天音「いいけど…どうして戻って来たの?」

李緒「俺、1人になって初めて分かったんだよな」

巽「何をだ?」

李緒「俺だけでは何も出来ないって事だよ
向こうの世界でもそうだった
学校に行っても、俺は落ちこぼれだからって誰も俺の事を相手にしてくれへんかったんや」

刈部「…………………」

李緒「でも、刈部と巽がもし、あの日に話しかけてくれへんかったら俺は死んでた」


ーー1年前・学校の屋上ーーーー

李緒《もう、何もかも無駄や
誰も俺の事を相手にしてくれへんねやったら、もう…死ぬ方がマシや…》

李緒は死ぬ為に学校の屋上にいた
そして、屋上の淵に立つ

李緒《はぁ…なんで、生まれて来たんやろな……
もう…早く楽になろう》

自分の体重を前にかけようとしたその時、

巽「俺の縄張りで死のうたぁ、いい度胸だなぁ…」

李緒「うわっ!ととと…」

刈部「た、巽!
驚かせちゃ駄目だろ!今、落ちそうになってたし!!」

巽「ふん、別にいいだろ?
コイツは死にたがってんだからよ」

刈部「巽!!」

李緒「…………………」

刈部「あっ!
えっとー…と、とにかく!そこから降りようか?危ないからさ」

李緒《……訳分かんないけど、不良みたいな人が怖いから、とりあえず従っとくか》

刈部「はぁ、死ななくて良かった〜」

李緒「……なんで…」

刈部「ん?んー…何でだろね?
でも、死ぬのは駄目だよ!何があったかは分からないけど、きっといい事もあるからさ!」

李緒「ねぇよ…そんなの……
俺は落ちこぼれだし、何もかもが無駄なんだよ!」

巽「なら、死ぬか」

不良が俺の腕を掴んで、屋上から落とそうとした

李緒「うわあぁぁ!やめろ!!」

巽「何でだよ!?
お前は死にたいんだろ!?だから、俺が手助けしてやる!!」

李緒「い……嫌だ!死にたくない!」

俺がそう言った瞬間、屋上のコンクリートの床へと放り出された

ドカッ!
李緒「いっ…!痛ぇ……」

巽「それがお前の本心だろ?
  本当は死にたくないんだろ!?」

李緒「あ………」

刈部「なぁ、何があったか俺達には分からないけど、俺達と友達にならない?」

李緒「…え………」

刈部「い、嫌だった?」

李緒「いや…なっ…て下さい…」

刈部「うん、いいよ」

李緒「ありがとう…」

巽「ちっ、男だろ?泣くんじゃねぇよ!」


李緒「それから、ずっと刈部と巽は俺を支えてくれた
だから、俺も覚悟を決めるよ……げぇむに参加する!」

刈部「李緒…!」

李緒「へへっ、いいやろ?」

巽「その前に来るのが遅ぇよ」

李緒「な…!間に合ったんだからいいやろ!」

天音「ふふっ、あなた達が羨ましいわ」

刈部「よし、行くぜ!」

李緒「おう!」

巽「ああ」

天音「ええ」


いざ、げぇむへーーーー

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫