《MUMEI》

「三人放送部なんですってね。今日の放課後行っていいかな?」
昼休み、俺達の前に座り、膝に弁当を広げて南先生が話す。すっかり俺も東屋も馴染んで楽しく話していた。彼女の周りには男女問わず生徒が集まり、遠足のように固まって食べている。


「構いませんよ」
東屋が勝手に承諾してしまった。俺の後ろでもそもそ食べている七生が気掛かりなのに。
七生をちらっと見る。俯いて叱られた子供のように静かにしていた。最近はずっとそうで以前の熱視線は送られなくなっている。




「でも今日は撮影であまり部室にいませんよ」
やんわり断ろうと試みる。


「じゃあ付いていっちゃお」
南先生は楽しそうに言う。それに比例して囲んでいる生徒達からズルイと言う不満が飛んでいた。



背中に引力を感じる。七生が制服の端を引っ張っていた。
……そんなに握り締められたら無性に庇護したくなるから止めてほしい。


俺もいい加減にしろよな親じゃあるまいし……。

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