《MUMEI》
喜び。
私は、龍也くんと約束したように、春休みにダイエットをさらに頑張った。
毎日、食べたいけど食べれなくて、運動もすごく辛かったけど龍也くんのことを考えれば平気だった。

そして今日は、新学期。
春休みは龍也くに会わなかったから、約1ヶ月ぶりの再会。
すこしは変わった、って言ってほしいな・・・。

「いってきまーす。」

母に声をかけて、玄関の扉を開くと、彼はいた。

「龍也くん、おはよう・・・。」

彼の背中に声をかけると、振り向いて目を見開いていた。

「か、馨子、ちゃん・・・。」

何か・・・。おかしのかな?  

「私の顔・・・。何かついてる??」
「い、いや・・・。可愛く、なった。垢抜けた・・・、って言うか・・・。アカンわぁ、可愛すぎる。」

彼が私に近づいてきて、大きな両手で私の顔を包み込んだ。

「こんなに顔も小さなってからに・・・。肌もきれいになったし。」

背の高い彼が目の前にくると、自然と見上げる形になって首が痛い。私の髪をスルスルと撫でると、

「俺、いま・・・。めっちゃ馨子ちゃんを口説きたい。」
「く、くど・・・!?変なこと言って、またからかってるんでしょう??」

ほんのりしてた顔から、真剣な顔つきになって。

「本気。な顔に見えへん?これ俺の本気な顔。俺、女の子と付き合ったこともないし、告白もしたことあらへんし。でも・・・。なんや ろ、今はなんか気持ちが溢れとる。今まで馨子ちゃんのがんばっとった姿を見てきてて、これでも今は言うたらアカン、ダメや。って
 我慢してきたんやで。でも、もう無理。俺のこと少しは男としてみてほしい。」

いま、私はすごいことを言われてる。でも頭がついて行かない。
嬉しい、うん。すごく嬉しい。でもこの気持ちが恋愛感情なのかがわからない。

「・・・。今は返事きかん。でも俺は、出会ったころから馨子ちゃんに惹かれとった。それがいま確信に変わって、好きすぎておかしく
 なりそうや・・・。ゆっくり考えて、答えくれな。」

学校行こう?
そういって、少し照れくさそうに手をつないでくれた。
私は、学校に着くまでなにも話せなかった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫