《MUMEI》
形勢逆転。
「おらおら、かかって来やがれっ!」
響介は中段の構えをとった。
「びびってんのか!? あ゛あ゛!?」
膝を曲げ、低く構える俺。
「おいアキバ、一体どうしたんだ!?」
ハゲの男の肩を揺らす長パーマ。
「…うぅ…。ガキめ…。ぐぅ……」
股間を抑えながら、首がカクカクいっているハゲ。
「あたし達から見ると、何だかカオルン達がチンピラに見えなくもないよね」
「……ああ。とりあえず今は観察している場合ではないだろう。逆間を助けるぞ」
「うんっ」
新斗と美鶴はミクちゃんの方へ行った。
「行かせるかよ! アキバ!」
「秋葉原だっ!!」
アキバと呼ばれるハゲが新斗達の方へ向かう。
ハゲも懐からナイフを取り出す。
「新斗くん、後ろっ!」
ミクちゃんが叫ぶ。
「わかっているさ」
新斗は冷静に鞄からペットボトルを取り出した。
あれは……、確か響介が飲んだしょっぱいやつだ。
それをハゲへ投げつける。
蓋は開いたままで、投げた時に少しこぼれる。
「…? 何だそれは」
ハゲはペットボトルを切りつけた。
中身がこぼれ、ハゲの全身にかぶる。
「ぬ!? 目が……!」
ナイフを落とし、目を抑えるハゲ。
「今だ天草っ! あれを貸せ」
美鶴がポケットから出した物を新斗にパスし、それを受け取った新斗がハゲへ向かって走った。
「喰らえ、アッザムリーダー!!」
出力を最大にし、腹部に刺すように突き当てた。
バリバリバリバリバリッ
「ぐああああああああ!!!!」
ハゲは感電した。
ハゲは悲鳴の後、静かに倒れた。
「ス……、スタンガンだと!? ガキが何でそんなものを!?」
驚愕する長パーマ。
「よそ見すんなボケっ! 薫に対しての俺の鬱憤をてめえで晴らしてやる!」
「こっちだってイライラしてんだよ! この長パーマは俺が蹴散らすんだよっ!」
こっちはこっちで相当酷い。
どうやら響介と『俺』は相性が悪いみたいだ。
「「おらおら!! さっさとかかって来やがれ!! 長パーマ野郎!!!!」」
響介と俺がハモる。
こういうところでは相性良いのに。
「…ちっ、アキバの野郎……」

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