《MUMEI》

見た限りは車内も普通の車と変わらない。
「こりゃ、早く戻れそうだ。」
ダリルはうれしそうに言った。
「なんでこの車だと早く行けるんだ?
ジェットかなんかついてるとか??」
リクは車の天井を触りながら言った。
「ハハッ。
おい、ビック・D。
坊主がこの車をバットモービルとかんちがいしてるぜ。」
ダリルは笑いながらビック・Dの肩を叩いた。
「おい、兄弟。
そりゃ、ないぜ。
すごいのは俺!!」
ビック・Dは首をひねってジェスチャ―で自分だと再度主張した。「けど、どんな能力で??」

「まぁ、見てな。」
そう言うと、ビック・Dは急に猛スピードで車を走らせた。
「えっ!?
ちょっと、危ないって!!」
リクは思わず身を乗りだしてビック・Dの肩を掴んだ。

「ヒィ〜ハァ――
とばすぜ相棒!」
ビック・Dはもう何も聞こえてないようだ。そして、その車の先にはT字路が…。
しかし、もちろんハイになってしまったビック・Dは気付いてないだろう。いゃ、たとえ気付いてたとしても曲がるかどうか疑問だ。「ねぇ、ダリル!!
やばいって、起きてくれよ!!おい!!」
リクが必死にダリルを揺すり起こそうとするがダリルは寝ぼけているのか、
「あ、あぁ大丈夫だから。」
としか言わない。
そうこうしているうちにもうビルが目に前にまで迫って来た。
「もう…ダメだ…。」リクは衝突の恐怖に目を瞑った。

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