《MUMEI》

彼女を捜《さが》し出して謝ろう。

幸い彼女の学校は分かっている。今度はこっちから出向いて仕切りなおしだ。

そうと決まれば善は急げと全速力で教室に戻る。

静寂《せいじゃく》に包まれたおよそ八メートル四方の空間には誰もいない。どうやら別の棟で授業なのだろう……みんな移動したアトだ。

荷物をバッグに纏《まと》めて携帯を手に取り、友人二人に「早退する」という主旨のメールを打つ。

「先生にはうまく言っとけ」の追伸も忘れず。

準備は整った。

バッグを引っ掴《つか》み、勢いよく教室から出ようとした瞬間、誰かが飛び込んできた。


「見つけた」


眼前で揺れる長く艶《つや》やかな黒い髪。目鼻立ちが整った小さい顔。華奢《きゃしゃ》な身体。

そう……『井下和美《いのしたかずみ》』がオレの目の前に……いる!

「あっ……」

多少驚きはしたが不思議と恐怖はない。オレは意を決して、

「あの、井下さん。さっきは――」

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