《MUMEI》 涙転勤の日がやってきた。 ずっと住んでいた町… 優しい先輩と友達… 友美… そして、佑伸くん… 全部が大好きだった。 新しいところでちゃんとやっていけるのだろうか… そんな不安 佑伸くんとは会えるのだろうか 別れを言いに何人かの人が家に来てくれた。 「元気でね、美香」 「ありがとう」 私の頬には自然と涙が流れていた。 みんなが帰ってから、佑伸くんだけが残っていた。 「美香…」 「ん?」 「向こう行っても、ちゃんと…やれよな」 「わかってるよ」 「美香…」 「ん?」 「大好きだっ…。行くなよっ」 「ゆ、佑伸くんっ」 佑伸くんが…私の前で初めて泣いた。 こんなにも私のことを愛しく思ってくれる人がいる。 私はなんて幸せなんだろう… 前へ |次へ |
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