《MUMEI》

「アンタ……、その頭は飾りなの? 授業中なんだから先生に見つかるとマズイんじゃない? お互いに」

「む……」

ムカツクが、このクソッタレの言うとおりだ。最初に大声出してたのはオマエだがな。

「しょうがねぇ。とりあえず学校から出ようぜ」

彼女はフンと鼻を鳴らし、身を翻《ひるがえ》す。

背中を見せたままオレに顔を向け、親指でクイクイと階段の方を指し、

「ついてこい」

「……誰だよオマエ」


――教員に見つからないよう注意を払いつつ、学校を抜けることに成功。

友人に送ったメールの返信も確認済みだ。

早退の件はバッチリ。ただ、追伸の言葉が気に入らない。

『末永くお幸せに〜♪』

アイツら、完全に勘違いしてやがる。

学校を出てからこの女の言うとおりについていってるが、あれからまた喋《しゃべ》らなくなった。

これでよかったんだろうかと不安になってくるが、同じ轍《てつ》は踏まない。

「なぁ、オマエ……メシ食ったの?」

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