《MUMEI》
私のせい
   〜江上視点〜


私の心の中にあった雲が

吹き飛ばされて

太陽が顔を覗かせたのを感じた。

すると

今さらながら

好きな人と一緒に居ることの

幸せさを噛みしめる。

そして、目の前にいる西村くんや

西村くんの優しさを

素直に愛おしいと思う。

何となく、胸が幸せいっぱいで

こんな時間がずっと続けばいいと思った。

目の前には

好きな人がいて

それを妨げる人はいなくて

素直な自分がいる。

これ以上幸せなことは

ないだろう。

そんなことを思っていると

西村くんが口を開く。

続きがあるから

聞いて欲しいって。

私は、もちろん断らなかった。



続きを聞いた瞬間

私の心の中で

太陽は崩れていった・・・

もう優しい暖かな光は

射すことがないかのように・・・。

冷え切った夜しか

こないかのように・・・。

私は、今にも泣きそうだったのをこらえて

椅子から立ち上がり

西村くんに背を向けて言った。

「ごめん。

そんなこと

・・・・・言われても

め・・・迷惑・・・だから。」

私は、鞄を掴み

昨日と同じように

教室から走って出て行った。

気がついたら

自分の部屋まで帰ってきていた。

顔は、もうぐちゃぐちゃで

頭では、何も考えられなかった。

ただただ泣くことしかできなかった。



前、大切な人を

傷つけてしまった時のように。

そう。








香奈を傷つけてしまった時のように。


私は、大切な人を

傷つけてばっかりだね・・・

私が居なければ

2人とも傷つかずに済んだのに・・・・・

私が居たせいで・・・





自分なんか大嫌い・・・

消えてしまえばいいのに・・・

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