《MUMEI》 救える気持ち。チャラ金髪と長パーマが運ばれて行った。 最後はハゲ。 一切抵抗していない。 そして、ミクちゃんの目が覚めた。 「……あれ?美鶴ちゃん!?」 目の前に美鶴の顔があったからか、驚いたみたいだ。 僕も行きたい。 でも、体が動かない。ちくしょう。 「全く、君達は無茶しすぎだっ!!」 小鳥遊さんが怒鳴る。 まァそりゃそうだと思う。 僕が親だったり、警察だったりしたら、怒る。 「…あっ、秋葉原さんっ!」 ミクちゃんの声。 秋葉原さん。誰だ?聞いた事ない名前。 まさか東京の町名なわけないよね。 振り向いたのは、誘拐犯のハゲ。 え?嘘でしょ?何で誘拐犯に? 「……何故、俺に話しかける?」 「あなたに話があるんです」 話?想像出来ない。 「……ホ、ホレたのか……!?」 響介が言う。 「な゛っ!?…んが、こどな゛っ」 「喉が潰れてんだから喋るんじゃねえよ、バカ」 お前が言いたいことはわかる、と頭をかきながら言った。 「冗談だよ。あれはホレてるやつの目じゃねえ。どちらかと言えば……って、おい。笑いを堪えてんじゃねえ!おかしな事言ってねえだろ!」 ……響介がそんな事言っているから笑えるんだ。ぷくく…。 笑いすぎて拳骨を喰らった。 死ぬ程痛かった。 ハゲ…いや、秋葉原とミクちゃんが話をしている。 僕と響介は…いや、よく見ると美鶴と新斗も聞き耳立てている。 「秋葉原さん。あなたは……この誘拐をどう思っていますか?」 「…藪から棒に…。後悔していると……思うか?」 「はい、あなたは心の底から後悔していると思います」 「………何故そんな事がわかるんだ?」 「あなたの気持ちは……私の気持ちと近付いている。だから、わかるんです。なんとなくですけど」 「……スゴいな、君は。誘拐した俺まで救おうと思うのか」 「あの二人は私にはわかりません。でも、秋葉原さんは救えると思いました。妹さんだって……」 「……俺の妹はな。入院しているんだ。しかも、死ぬかもしれない難病でな」 「やっぱり……」 「俺の家は貧乏でな。医療費なんて、払いきれない程、高額なんだ。もしかしたら一生かかっても払いきれないかもしれないんだ」 「……でも」 「…ああ。こんな事をして、妹が助かっても、きっと喜ばない。君に言われた通りだ。今は心の底から後悔している」 こんな会話が……ずっと、続いていた。 前へ |次へ |
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