《MUMEI》 丸く収まった?……途方のない会話を、ミクちゃんが破った。 「秋葉原さん。あなたの気持ちはわかりました。妹さんを想う気持ちも」 「そうか。伝わって良かったよ。では、俺はもう行く……。きちんと罪を償って、きちんと働こう。妹を……助けねばな」 「あ、そういえば、妹さんはおいくつなんですか?」 「ん、君と同じくらいだ…………。今年で十一歳になる」 「あの、それでしたら妹さんのお友達になっても……良いですか?」 「………良いのか!?」 「はいっ、お友達が増えるのは嬉しいですっ」 「…ありがとう…。ありがとう…。ありがとう…」 「それと、妹さんの医療費なんですが……、私が立て替えても良いです」 「…え……?本…当なの……か……?」 「はいっ、お友達を助けるのは、当たり前ですから」 「…本当に……ありがとう……!!」 涙する秋葉原に、おろおろするミクちゃん。 本当に、優しすぎる。 ……丸く収まったって考えていいのかな? 「……結局は金の力の気がするんだが……」 新斗は呟くが、そんな事、ないよ。 それでこそ、逆間久美だ。 …にしても、秋葉原って誘拐犯。意外といい人なのかも。 あの最後の人質騒動以外は、あまり手荒な事はしていなかったな。いや、そんな事ないか? 「これでようやく終わりだな。さ、帰るか」 「ああ」 帰る?ちょっと待って。さすがにこんなケガじゃ帰れないって。せめて病院に……。 「大丈夫か神名くん。救急車を呼んだから、大事にするんだぞ」 ようやく救急車を呼んでくれたんだ。 「…って、外まで歩く事は出来ないか…。仕方がない。私が運んでいってあげよう」 ぐいっ。お姫様抱っこ。 いいいいやああああああっっっ!!!! 声に出ないのが悔しかった。 「なにっ!?誘拐犯の1人が暴れている!?」 え…!? 「…目黒か…!」 ため息を吐きながら秋葉原が言い、外へ走る。 「…なっ、貴様どこへ行く気だっ!」 続いて小鳥遊さんも走った。 そこまでは良い。 僕を落として行くんじゃない……っ!! お尻が痛い。 「オレ達も…!」 響介、新斗、ミクちゃんも続いて行ってしまった。 放置?僕ってこの事件のMVPじゃないの?僕の勘違い? 「カオルン、大丈夫?」 美鶴が肩を貸してくれる。 有り難い、嗚呼、有り難い、有り難い。五七五。 あれ?僕結構コメディアンになってない?面白くない?すごくない? ……そろそろ自重しよう。 「このあたしが肩貸してるんだから、嬉しいでしょ?」 ナイスボディだったら、尚更嬉しいと思ったのは内緒だ。 前へ |次へ |
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