《MUMEI》 「あ、あぁ」 意外にも素直な一面を見せた彼女に、内心ドギマギしながらも「カワイイ」と思ってしまった自分は、愚かなのだろうか……いや、まあそれはそれでおいとこう。 「弁当食うなら飲み物いるだろ? そこの自販機で買おうぜ」 「あ……、うん」 近くの自販機に駆け寄り、小銭を入れてボタンを押す。 今日は誰かさんのせいで疲れていたのだろう。甘い物が欲しくなったオレは、ホットのココアを買った。 「ん? 何してんだ?」 彼女は自販機を前に、ゼンマイの切れた玩具《おもちゃ》のように動かない。 「……」 「まさか、買い方がわからないってことはないよな?」 「…………」 ――彼女の『だんまり』が始まった。 プルタブを開け、ココアを飲みながら彼女を観察することにした。 別に助けを求められてるワケじゃないから、いいよな? 前へ |次へ |
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