《MUMEI》
迷子。
 
どうしたものか・・・。

自分の気持ちが分からない。
龍也くんのことは、好き。

でも、愛してるの、好き。なのかはわからない。

彼のおかげでいじめはなくなって、彼のおかげで私はかわれた。
彼の言動ひとつひとつに、胸はときめいた。

男としてみるというのは、どういうこと?

「今年からお前らは受験生だ。恋愛ばかりに気を取られないで、勉強しろよ。」

教室に担任の声が響きわたる。
中3は高校受験を控えた大事な年。
龍也くんにばかり気をとられちゃいけないのは分かってるんだけど・・・。

「ねぇ、君さ。さっきからなに悩んでんの?」
「へ?」
ふと顔を向けると、隣の席の川崎くんだった。

「馨子さ、去年と比べるとまじ変わったよな。可愛くなったよ。」

学校へきて、始めてそんなことを言ってくれた川崎くんがとてもいい人にみえた。
去年までは一緒になって私のこといじめていたのに、そこに憎しみはなく、ただただ嬉しかった。

「ありがとう。可愛くなれたのも、龍也くんがいたから・・・。本当に感謝してるんだ。」
「アイツか・・・。なぁ、お前ら付き合ってんの?」
「えぇ!?つ、付き合ってないよ!」
「そ?アイツの顔むっつりっぽいからもう喰われたかと思った。」
「わ、私は食べてもおいしくないよ・・・。」

それから私たちは授業そっちのけで話をした。
同級生とこんな風に話をするのは久しぶりで、嬉しかった。そして私は、告白されどうしたらいいのか分からない、という悩みを打ち明けてしまった。

「男の気持ちが分からない・・・、かぁ。恋愛って難しいもんな。俺も女の気持ちなんかわかんないし。」
「本当にどうしたらいいのか分からないの・・・。」
「馨子ちゃん、次の授業抜け出さない?屋上とかでさ腹わっていろいろ話そうぜ。」

私はその誘いにのった。川崎君のはなしには龍也くんとは別の面白さがあって楽しい。

休み時間になり二人で教室をでた。

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