《MUMEI》

すると次の瞬間――


ズドドドドドドド――……


物凄い勢いでボタンを連打し始めた彼女。

その連打は凄まじく、ボタンどころか自販機その物が壊れてしまいそうだ。

これは非常にマズイことになった。

どう考えても女の力ではない……というか男の怪力でもここまでなるかどうか……。

オレは彼女の肩を恐る恐る掴《つか》む。

動きが止まり、「どうだった!?」と問いかけてくる彼女の表情に、オレは無言で首を横に振ってみせた。

「ダメだったのね……」

力なく肩をおとし、とても残念そうに彼女は呟《つぶや》いた。

「結果は残念だったけど……いい連打だったよ」

彼女を慰《なぐさ》めながら自販機から出てきた熱いお茶を取り出し、悔しそうにしている彼女に手渡す。

「うん。機会があればまたやってみる」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫