《MUMEI》

――自転車の二ケツで移動することにしたオレ達は国道を走っている。

座れそうな場所はないものかと辺りを見渡し、脇道に神社を発見。

「あそこでいいんじゃないか?」

声をかけると彼女も納得し、そこで少し遅くなった(彼女の)昼食タイムだ。

石段に腰を下ろし、彼女は弁当の蓋《ふた》を開ける。

「わっ! スゴイ」

彼女は驚いているのか、中身をしげしげと見ていた。

「冷めてもおいしいように作ってあるみたいだから、大丈夫だと思う」

「へぇ〜。じゃあ、いただきます!」

「おう。いただいてくれ」

まずはピラフを小さな口に運ぶ。もぐもぐもぐと、よく噛んで味わっている。

「おいしい!」

彼女の表情が明るくなり、オレはその言葉にうんうん(母さんが聞いたら喜ぶだろう)と頷《うなず》いた。

それを皮切りに、おかずのエビフライやサラダが次から次へと消えていく。

見事な食べっぷりの彼女を、しばらく見つめながら考えていた。

そう、本題に入るタイミングだ。

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