《MUMEI》 「力を借りたいなら……、アンタの正体を言えよ。話はそれからだろ?」 彼女は顎《あご》を僅《わず》かに上げ、鼻で笑うと、 「『百聞は一見に如かず』って言葉があるみたいだけど……いいわ。教えてあげる」 ――突然彼女から得体の知れない何かを感じた。 「ワタシの名前はカルグリーナ。裏の世界ヴェイグ≠ゥら来たの」 は……? なんだって? 裏の世界? そこから来たヤツが井下さんに乗り移ったってことか? 「クッ……、ハハハハハハハッ!」 自然と笑いがこみ上げてくる。 突然笑ったオレに対し、彼女は不機嫌そうな面持《おもも》ちになった。 「……悪い悪い。別にアンタを馬鹿にして笑ったんじゃないよ」 うんうんと、一人で納得しているオレを見て、 「じゃあ、なんなの?」 カルグリーナと名乗った彼女の顔を真っ直ぐに見て、オレも真剣に答える。 「裏の世界から来たって言ったよな? じゃあこっちが表になるワケだ」 前へ |次へ |
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