《MUMEI》

「ん? ああ」

「裏はワタシが住んでる世界。表がアンタが住んでる世界だとして……この十円玉と同じで、表と裏で一つなの」

「表裏一体ってことだな?」

「そう。全《すべ》てが繋がっているの。全てが……」

そう話す彼女から悲壮感が漂《ただよ》う。

「最近、全国的に死者が多く出たんじゃない? ううん、もっというと世界的に」

「ああ、その手のニュースは確かに多くなってたと思う」

「それはヴェイグ≠ナ起こってる『争い』が原因なの。住人同士のね」

「どういうことだ?」

「言ったでしょ? 全てが繋がってるって。表と裏の住人一人ひとりの命もね。もっとわかりやすく言うと、反対の世界には『もう一人の自分』がいるの」

段々話が飲み込めてくる。

「つまり裏で一人死ぬと、表にいる『もう一人の自分』も……死ぬ?」

「ご名答」

「っ!?」

――オレはその言葉に苛立ち、彼女を見据える。

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