《MUMEI》 確かにそれはそうだが、最悪――キャルとの魂混合状態も覚悟せねばなるまい。 「じゃあ、これからどうするんだ? 井下《いのした》さんが完治するまで待つのか? 時間に余裕がある話には聞こえなかったぞ?」 「このままヴェイグ≠ノ行く」 「は?」 ワケがわからん。 このまま行くって、向こうは超能力みたいな『力』を使う連中で……オレと『融合』しないとどうにもならないんじゃなかったのか? それに井下さんまで巻き込むことに……いや、既《すで》に巻き込まれてるか。 「言いたいことがあるのはわかってる。でも、ワタシを信用してもらうしかない」 彼女の眼には、強い意志が宿っているように感じられる。 「今から井下和美《かずみ》が事故に遭《あ》った現場まで行く。『空間の歪み』が生じているその場所で、この『秘石』を使いヴェイグ≠ノ着いたら、アンタにはやってもらうことが沢山ある。 再びこっちの世界に生きて戻れる保障もない。どう? ケータ。ワタシ達の世界に……それでもアンタは来れる?」 怖ろしいことを淡々《たんたん》と言い放つ彼女を前に、オレは俯《うつむ》き、そして考える。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |