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《MUMEI》 咄嗟《とっさ》に振り返ると彼女が心配そうな表情で、 「よかった。痛みは感じるみたいね。〝ヴェイグ〟の大気にやられたんじゃないかって、心配したのよ？」 すかさず残念そうな顔を作るや、わざとらしく首を左右に振り、 「頭の方は手遅れみたいだけど」 オレは激しく痛む背中を押さえる。コ、コイツ、なんだってこんなことを……？ 「なにしやがる！ オマエの頭がイカレてんだよ！」 「もう一度確認の必要がありそうね」 彼女はそう言いながら手をワキワキさせている。 「お待たせしました」 ――突然オレ達の前に現れた人物が、深々と頭を下げてきた。 「お迎えご苦労様。こっちに変わりはない？」 「はい。今のところ相手に大きな動きはありませんね」 突然現れた〝ヴェイガー〟と思《おぼ》しき人物との初対面。 背中の痛みも忘れ、驚きを隠せないでいるオレは、唯々《ただただ》、キャルと〝ヴェイガー〟のやり取りを見ていた。 前へ |次へ |
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