《MUMEI》 「待たせちゃ悪いわね……。急いで行きましょう」 「それではワタシの肩に触れてください。移動します。……ん?」 彼は倒れているオレに気付き、助け起こそうと肩を貸してくれる。 「大丈夫ですか? ケータさん。動けますか?」 「は、はい……」 その様子を見ていたのか、彼女と目が合う。 「なにそんな所で寝てんのよ。まだそんな時間じゃないでしょ?」 冷ややかな目がオレを抉《えぐ》る。 仮にも『もう一人の自分』だぞ? もっと手加減しろ! 「ひ、昼寝してただけだ……」 悔しいがこんな強がりを言うので精一杯だ。立て続けに同じ箇所を三度も抓《つね》られれば、誰だろうと耐えられるモノではない。 「あっそ。じゃあとっとと行きましょうか」 「……おう」 オレ達は言われたとおり、ロッドさんの肩に手をやる。しかし、これでどうやって移動するというのだろうか。 「ではお二方《ふたかた》。行きますよ」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |