《MUMEI》

……――――――……!


これは……、凄い。

一瞬にして別の景色に変わっている。

瞬間移動《テレポート》ってやつらしいが……聞いたことはあっても、まさか自分が体験できるなんて思ってもみなかった。

これは感動モンだよ!

ただ、これ……慣れないうちは、エレベーターを使用した時の感じにそっくりで気持ち悪い。

しかも、やたらとキャルからの視線を感じ、否応《いやおう》なく目を向けると、

「どう? 初の『力』を体験した感想は」

何やら得意気な笑みを浮かべている。ならば答えてやろうではないか。

「あぁ、凄いとしか言いようがないよ。それに……」

「それに?」

続きを聞きたそうに、彼女は瞳を輝かせながらオレの顔を覗《のぞ》き込んでくる。

「この瞬間移動はロッドさんの『力』なのに、オマエが得意になってるのがまた凄い!」

「……二度と立てないようにしてやろうか?」


――断続的に続いていた彼の瞬間移動が止まる。

「ケータさん。申し訳ないですが、ここからは徒歩になります」

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