《MUMEI》

「半分?」

「そ、半分。力は力でも、ワタシ達ヴェイガー≠ェ使う『力』」

だから岩がスイッチの機能を……果たさない?

「その『力』をヴェイグ≠ナはこう呼んでる。『ソウル』」

「……『ソウル』……」

彼女は手のひらでそっと岩肌に触れると――

「アンタにはそれがない。だから……」

――どんなに押そうがビクともしなかった岩が音を立て、事もなく動き出した。

「ケータ。アンタには『ソウル』を身に付けてもらう」

スイッチが作動したのか、地面がゆっくりと割れ始め……地下に続く階段が現れた。

「さあ、行きましょう。みんなが待ってるわ」

彼女が手を差し伸べてくる。

あの時と同じだ……。プレイン≠ナ、通学中のキャルに……。

今考えれば、アレは傑作《けっさく》だよな。土下座までして。

今朝までは、何も知らずに普通の生活してたってのに、キャルに出会って世界が一変《いっぺん》したよ。

けど、これが現実。先に進むしか道はない、か。

「なに笑ってんの? キモチわるい」

「悪い。なんでもねぇよ」

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