《MUMEI》 ――これまでの地面を掘り進んだだけの通路とは違い、形の整った岩の塊が床や壁一面にしっかりとはめ込まれた造りだ。 奥には集会の時にリーダーが立つ講壇《こうだん》だろうか、一段高くなっている。 ハァ〜……なんかここスゴイなぁ。想像してたよりずっと頑丈そうだし、整備もされてる。 でも、なんだ? 「誰もいないみたいだけど……」 静寂に包まれている大広間には、誰もいない。 「みんなが待ってるって言ってたけど……、どこに行ったんだ?」 「いえ、みなさんここに集合してますよ」 「えっ!?」 オレには何も見えないし、気配すらしない。 いるのか……? ホントに。 「ケータ。アンタはまだ見ることができない。『ソウル』を身に付けてないからね」 「は? なに言ってんだよ。ロッドさんの姿は見えてんだ。他のみんなが見えないってことはないだろ」 しかし二人の反応がそうではないと言っている。 どういうことだよ、一体。 「ロッドは姿を具現化して見せてるだけ。ここにいるみんなはそれをしてないの」 つまり『ソウル』を使えないオレは、向こうから姿を現さない限り、見ることができないのか。 前へ |次へ |
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