《MUMEI》 キャルはオレを見ると、愁《うれ》いを感じさせながらも微笑んだ。 「さあ、お二方《ふたかた》。前へ」 ロッドさんに勧《すす》められ、左右に分かれた集団の間を通り、リーダーと思われる人物の前まで来た。 この人が組織のリーダーか。 ロッドさんと比べても、よりプレイナー≠ノ近い……いや、外見だけならプレイナー≠ナ通用する。名前はたしか、ジュード……だったかな。 「おかえり、キャル。ロッドもご苦労だったね」 ロッドさんは会釈で答える。 リーダーはオレのイメージとは随分《ずいぶん》違い、感じの良さそうな人だ。もっとエラそうにしてんのかと思ってた。 「ただいま。J、紹介する――」 リーダーは手のひらでキャルを制止する。 「それならここに上がってからにしよう」 「……それもそうね」 キャルが同意したことでオレは台に上がるハメになった。 オイオイ、こういうスピーチっぽいの得意じゃないのに、なにやらせようとしてんの? ロッドさんはそのまま集団の中に入っていき、キャルと二人で台に上がる。 「おい、キャル。オレは何を言えばいいんだよ」 「自己紹介とか、今後の抱負でも語れば?」 前へ |次へ |
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