《MUMEI》

「抱負って言われても……」

なにが「語れば?」だよ。他人事《ひとごと》だと思って……あ、ヤバイ……緊張してきた。

「早く言いなさいよ。じれったい」

「ちょ、ちょっと待って……」

コホンと一つ咳払いをし、僅《わず》かな間を置く。


「えー……、プレイン≠ゥら来ました、近藤《こんどう》敬太《けいた》です。『争い』のことはカルグリーナさんから聞きました」

プッと軽く吹き出したキャルが「『カルグリーナさん』だって」などと呟《つぶや》き、必死に笑いを堪《こら》えている。

「うるせぇ、黙ってろ」と小声で返し、深呼吸を二、三度繰り返す。

そして最後に空気を目一杯吸い込み、

「みなさんっ! この戦い、勝ちにいきましょう!」


――ウオオオォォォ――――――ッ!!


それまで静まり返っていた大広間は、異様な熱気と喝采《かっさい》に包まれた。

これでよかったのか?

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫