《MUMEI》

「やるわね、ケータ」

「『やるわね』じゃねえよ……ったく、ムチャ振りしやがって」

「別にいいじゃない。上手くいったんだし」

――不意に肩を叩かれ振り向くと、リーダーが満足そうに顔をほころばせている。

その笑顔を見ていると、不思議と穏やかな気持ちになってしまう。

「やるなぁ、ケータくん。みんなの士気が一気に上がったようだね」

「はぁ。それならいいんですけど……」

褒《ほ》められたことで急に恥ずかしくなってきた。

「それじゃあ作戦会議を開くから、ボクについて来てくれないか?」

「え? オレもですか?」

「当たり前でしょ? なに寝ボケてんのよアンタ」

キャルの呆《あき》れ顔はいいとして、リーダーの顔を窺《うかが》うと、

「もちろんだ。キミは大事な作戦の切り札だからね。みんな少なからず期待しているんだよ。ボクも含めて、ね」

期待……か。

必要としてくれているなら、それに応えないとな。

「J。あんまり期待してもらっても困るんだけど?」

「ハハハッ、わかってるよ。そっちの問題はボクに任せてくれ」

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